今、日本では、がん患者さんが急速に増加しています。実際現在、日本人の二人に一人ががんになり、また三人に一人以上ががんで亡くなっておられるのです。このため以前の結核のように、がんは「国民病」とまで言われるようになってきました。
京都大学医学部附属病院は、こうした「がん患者さんの急激な増加」に対応するために、2007年に国立大学病院として、わが国で初めての「京大病院がんセンター」を立ち上げました。そして2010年には新しくできた病棟「積貞棟」の開設によって、本格的に診療活動を開始しました。ご存知のように「積貞棟」は、京都生れの「任天堂」の相談役 山内 溥 様のご寄付により建設されたものです。
私達京大病院がんセンターは、設立以来、京都のみならず全国のがん患者さんに、世界でも最高水準のがん医療を提供するとともに、未来に向けた「がん医療」を開発すること、さらにはがん医療に専門的にたずさわる、医師、看護師、薬剤師などを養成することを目指しています。
このように京大病院がんセンターは大きな3つの目標を掲げています。まず第一は、京大病院のすべての診療科が参加した集学的医療、チーム医療の実現により、患者さん個人個人のニーズにあった、より高度ながん医療を提供することです。
第二は、このような高度ながん診療体制を通して、がん医療の専門医やがん専門看護師、薬剤師、医学物理士などの「がん医療専門職」、さらには今後のがん医療の指導者を育てることです。さらに第三は、様々な臨床研究を展開することによって、新しいがんの診断法、治療法を開発していくことです。
現在がんの医療は益々高度化し、また複雑化してきています。これに対応するためには、高度ながん医療に加えて、質の高い集学的医療、チーム医療が求められています。京都大学医学部附属病院は、優れた各臓器のがん専門医を擁していますが、同時に、がん診断の中核である病理部門、画像診断部門、さらにがん治療の三本柱である、外科および内視鏡治療、放射線治療、化学療法のいずれにおいても強固なチーム医療体制が整備されています。今後は、この充実した医療体制を活かして、行政、地域病院、医師会、国民との連携を通じて、社会の要請に答えていきたいと念願しています。