都道府県がん診療連携拠点病院
2023年4月1日、「都道府県がん診療連携拠点病院」の指定が更新されました
「都道府県がん診療連携拠点病院」は、当該都道府県においてがん診療の質の向上、がん診療の連携協力体制の構築に関し中心的な役割を担うために指定されているものです。 京都府内には京都府立医科大学附属病院 との2ヶ所です。 これまでに引き続き、本院が総合大学としての機能を活かした多様かつ専門的な人材育成を、府立医大病院が府内病院との地域医療ネットワークづくりを、とそれぞれの特徴を活かした役割分担・協力を行い、府内病院に対し指導的役割を果たすことで、がん医療の均てん化・レベルアップを進めてまいります。
京都府内の「都道府県がん拠点・地域がん拠点・地域がん診療病院」
厚生労働大臣が指定する病院です。 病院名をクリックすると、国立がん研究センターがん情報サービスで 公開されている各病院の情報をご覧いただけます。
都道府県がん診療連携拠点病院(2か所)
京都府立医科大学附属病院
京都大学医学部附属病院
地域がん診療連携拠点病院(9か所)
京都市立病院
市立福知山市民病院
京都第一赤十字病院
京都第二赤十字病院
独立行政法人国立病院機構 京都医療センター
社会福祉法人京都社会事業財団 京都桂病院
医療法人徳洲会宇治徳洲会院
社会医療法人岡本病院(財団)京都岡本記念病院
京都府立医科大学附属北部医療センター
地域がん診療病院(2か所)
京都山城総合医療センター
京都中部総合医療センター
がんゲノム医療中核拠点病院
がんは遺伝子(ゲノム)の異常で起きる病気で、その異常は多様です。近年の遺伝子解析技術の進歩(特に次世代シークエンサーの開発)により、一度に多数の遺伝子(ゲノム)異常を調べることが可能になりました。がんゲノム医療は、がん患者さんのがん細胞で起きている遺伝子(ゲノム)の異常を網羅的に調べ、個々の患者さんに最適な治療を提供するPrecision Medicine(プレシジョンメディシン、精密医療)のひとつです。
当院では、2015年4月に、国内ではじめて次世代シークエンサーを用いたがん遺伝子パネル検査(OncoPrime™)のサービスを開発し、実臨床に導入しました。そこで得た様々な経験を生かし、当院でのがんゲノム医療部の体制が構築されています。2018年2月16日に、当院は厚生労働省から「がんゲノム医療中核拠点病院」に指定され、2024年1月現在、20の連携病院と治療方針を決める多職種による専門家会議(エキスパートパネル、以下エキパネ)で連携し、29の医療機関におけるがんゲノム医療に携わる人材育成を担っています。
わが国では、2019年6月に、がん遺伝子パネル検査が保険適用になり、国民皆保険制度のなかで実施できるようになりました。保険診療におけるがん遺伝子パネル検査の適用は、「標準治療がない」もしくは「標準治療が終了(見込みを含む)」がん患者さんが対象です。がんゲノム医療を効率的かつ効果的に実施するためには、がんゲノムに関する専門的な知識に加え、保険診療で実施するための様々な対応が求められます。そのため、当院では、がんゲノム医療部が中心となり、がん関連診療科および部門と連携して、最適ながんゲノム医療を提供できる体制を構築しています。また、がんゲノム医療を受ける患者さん側にも、十分な理解をしていただく必要があります。そのため、がんゲノム医療部では、「がんゲノム医療特別外来」を設置し、がんゲノム医療を受ける前にがん専門看護師やがんゲノム医療コーディネータ、担当医から患者さんおよびご家族に丁寧かつ十分な説明を行い理解をしていただいた上で、がんゲノム医療を実践しています。がんゲノム医療を受けた後も、関係するスタッフがサポートをしており、安心してがんゲノム医療を受けられる体制が構築されています。
小児がん拠点病院
がんの子どもすべてに質の高い医療の提供をめざし、経済的、社会的な負担を軽減する対策をとりつつ、診療実績のある病院にがんの子どもを集約させ、先駆的で安全かつ効果のある集学的治療を実践するとともに、子どもや家族が慣れ親しんだ地域でも安心して医療支援を受けられる環境の整備が進められてきました。その中心的役割を果たす病院が『小児がん診療拠点病院』です。
京大病院が小児がん拠点病院に選定された理由
- 患者さんの身体的苦痛や心理社会的苦痛などのスクリーニング
- 専門相談支援
- 地域連携支援
- 教育・研修
- 診療情報の集約・分析 などの活動を行い、緩和ケアの拡充を図っていきます。
小児がん拠点病院指定一覧・近畿ブロック内医療機関との連携
小児がんの子どもと家族は可能な限り慣れ親しんだ地域で、他の子どもと同じ生活・教育環境の中、標準的な医療を受けられるとともに、治療困難時には安心して先駆的で高度な医療を受けられる環境が必要になります。そのような環境をつくるために、小児がん拠点病院である当院は、小児がん拠点病院間、及び近畿ブロック(近畿2府5県+福井県)のすべての府県に位置する病院と緊密に連携しています (地域連携)。
京都大学医学部附属病院小児がん診療の理念
小児がん診療の進歩は近年著しく、一部の白血病はほとんど治癒できるようになりました。しかし、まだまだ治癒が難しいがんや治癒したものの後遺症が残る場合もあります。当院では、3つの理念を掲げ、全てのがんの子どもが後遺症なき完全治癒により充実した一生をおくれるように、病院、診療科、職種を越えた連携による集学的診療体制の整備や、新しい治癒法の開発を含めた治癒レベルの向上に努めてきました。
小児がんの種類によっては小児科だけでなく、脳外科、移植外科、放射線科などと連携し、先駆的で安全な治療を実践し、そのための専門医の確保・育成や新しい治癒法の開発も行っています。また、治療をより安全に、苦痛や不安をできる限り減らして行うために、看護師、薬剤師、臨床心理士などの多くの専門職が各々の立場から子どもをサポート。その他にも保育士やボランティア、教師などが家族とともに子どもの成長を見守り支えています。さらに、遠方からも安心して来院できるように家族のための長期宿泊施設も準備いたしました。このような診療体制の充実や環境の整備を通じ、高度で安全な集学的治療を安心して受けられる「小児がん診療拠点病院」として京大病院はこれからも進化していきます。