近年、膵臓癌の患者数は年々増加の一途をたどっています。膵臓癌は、単一の治療ではなく、手術・放射線療法・薬物療法・画像診断・遺伝子診断などを最大限に活用して診療にあたる必要があります。京都大学膵臓癌ユニットは、膵臓癌の各治療・診断の専門家が共同で診療を行い、各症例に対する最適な治療方針を迅速に提供することに努めています。
現在では、以下のような診療を行っています。
診療案内
膵臓がんは進行が早く、診断から治療方針決定までの迅速さが特に要求される疾患です。京大病院膵臓がんユニットでは、外科・内科・放射線科を含めた多職種の専門家が協力し、速やかに治療方針を決定し、最も効果的な集学的治療をより円滑に行う方針としています。また、神経内分泌腫瘍(NET)、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、膵炎などの膵臓疾患に対しても、専門的な治療を行っています。 ユニット外来は毎週金曜日に開いています。初診日は午前中に問診、診察と必要な検査の予約を行います。その日の午後の膵臓がんユニット検討会においては、放射線診断科、消化器内科、放射線治療科、腫瘍内科、肝胆膵・移植外科の医師が各種画像を詳細に検討し、推奨すべき治療方針を決定します。その後、同方針に基づき各診療科の専門医師が説明に当たり、個々の患者さんの希望に合わせて最終的な決定を行い、治療を開始します。

診療活動
膵臓がんの初期治療としては、大きく分けて、手術、放射線療法、化学療法の3つの方法があります。京都大学の肝胆膵・移植外科では年間約100例の膵臓手術を行っており、全国でも有数の手術経験を有しています。さらに、血管合併切除を伴う高難度の手術から低侵襲(からだに負担の少ない)な腹腔鏡手術(腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術など)やロボット支援手術も積極的に行っています。放射線治療科においては精度の高い放射線治療システムを活用し、緻密な治療計画に基づいた侵襲の少ない治療を行っています。特に、強度変調放射線治療(IMRT)を導入し、良好な局所制御効果を得ることに成功しています。また、最先端の放射線治療技術である即時適応放射線治療も行っています。腫瘍内科では、エビデンスに基づいて種々の抗がん剤を用いた全身化学療法を行うとともに、がんクリニカルシーケンス検査(自費診療)を利用したゲノム医療も実施しています。消化器内科では、EUS-FNA(超音波内視鏡ガイド下吸引穿刺術)、ERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影)などの内視鏡検査による組織学的な診断を行っています。また、閉塞性黄疸、胆管炎など、原疾患に由来する様々な症状や合併症に対して内視鏡治療を行っています。家族性膵癌の患者さんと家族には、認定遺伝カウンセラーが対応する体制も整えています。 膵臓がんの患者さんの中には、疼痛や嘔気、食欲不振など、様々な症状や悩みを抱えておられる方が少なくありません。当ユニットにおいては、緩和ケアチームの協力のもと、初期の段階から速やかに緩和的治療を開始し、少しでも早く患者さんの苦痛を取り除くことを目指しています。 膵臓がんの診療の過程においては、これらを組み合わせた総合的な判断と集学的な治療や処置が求められます。当ユニットにおいては、さらなる治療成績の改善を目的に、全ての関連診療科が連携して、下記のような臨床試験を行っています。初診時より各診療科が連携することで、質の高い医療の提供を提供するように努めています。

ユニットメンバ-リスト(2025年4月)
●ユニット長 ※教授
- ● 吉村 通央放射線治療科
- 小野 幸果放射線治療科
- 岩井 貴寛放射線治療科
- ※ 波多野 悦朗肝胆膵・移植外科
- 長井 和之肝胆膵・移植外科
- 穴澤 貴行肝胆膵・移植外科
- 山根 佳肝胆膵・移植外科
- 佐藤 朝日肝胆膵・移植外科
- 福田 晃久消化器内科
- 塩川 雅広消化器内科
- 丸野 貴久消化器内科
- 松森 友昭消化器内科
- 西川 義浩消化器内科
- 垣内 伸之消化器内科
- 村本雄哉消化器内科
- 河相 宗矩消化器内科
- 美馬 淳志消化器内科
- ※ 松本 繁巳腫瘍内科
- 松原 淳一腫瘍内科
- 山田 敦腫瘍内科
- 横山 顕礼腫瘍内科
- 野村 基雄腫瘍内科
- 玉置 将司腫瘍内科
- 吉岡 正博腫瘍内科
- 片岡 滋貴腫瘍内科
- 近藤 知大腫瘍内科
- 上田 彩腫瘍内科
- 奥山 駿佑腫瘍内科
- 清水 大功放射線診断科
- 大西 康之放射線診断科
- 中井 浩嗣放射線診断科
- 小川 昌宣遺伝子診療部
- 川崎 秀徳遺伝子診療部
- 鳥嶋 雅子遺伝子診療部
- 稲葉 慧遺伝子診療部
- 本田 明夏遺伝子診療部
- 村上 裕美遺伝子診療部
- 源 明理遺伝子診療部
- 春山 瑳依子遺伝子診療部