各診療部の紹介

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外来がん診療部と臓器別がんユニット

外来がん診療部は、積貞棟1階および外来棟1階で運営され、外来がん診療室・外来化学療法室・外来処置室から構成されています。外来がん診療室では、腫瘍ごとに、そのがんを専門とする複数の診療科の医師・各種医療スタッフが「各臓器別がんユニット」にて一同に会し、新規患者さんを中心として検討が必要な患者さんを対象に議論を行います。診療科の垣根を越えて情報を共有し、緊密に連携を図ることにより、客観的かつ迅速に治療方針を決定し、最善の医療を提供できるようにしています。 現在、前立腺がん、脳腫瘍・小児脳腫瘍、肺がん、食道がん、乳がん、膵臓がん、大腸がん、胃がん・GIST、頭頸部がん、小児がん、原発不明がん・希少がん、骨転移、NET、遺伝性腫瘍、婦人科腫瘍、血液腫瘍、胆道がん、エキスパートパネル、メラノーマ、OncoNephlology、胆道がん、irAE(免疫関連有害事象)、Cardio-oncologyの各ユニットが運営されています。ユニットの運用は、ユニット毎に異なりますが、診断・治療方針の最高意思決定の場となっています。すなわち、ユニットで推奨された治療方針を主治医と共有し、患者さん・ご家族に情報提供することで最終的に治療方針が決定されます。

入院がん診療部

入院がん診療部は、積貞棟8階において総病床数36床(総室16床、個室20床)で運営されています。特記すべきことは、「“がん”に特化」かつ「診療科横断的な入院診療」を実践する「がん治療専門病棟(集学的がん治療病棟)」であることです。がん専門病棟である特性を生かし、入院から外来まで一貫して専門性の高いがん治療を提供しています。 また、がん治療にともなう有害事象による緊急対応も当該診療科と連携して行っています。 さらに、がんの臨床試験や治験を行う「治験実施病棟」として、質の高い医療を提供しています。

がん診療支援部

がん診療支援部は、外来ならびに入院がん診療部と協力し、がん患者が安心して医療を受けるための支援体制の整備を目標にしています。また、地域ネットワーク医療部と密接に連携し、患者さんが居住する地域においても質の高い診療が継続できるよう地域の連携機関との協力を進めており、在宅療養やホスピスへの転院などの退院支援、外来通院患者への早期からの療養支援を行っています。また、がん相談支援センターでは、がん診療や生活全般にかかわる相談に対応し、患者さんの不安を軽減することを目標としています。

がん教育研修部

がん教育研修部は、高度ながん治療を実践し、新しい医療の開発を担当できる医療人を育成することを目的として、大学と病院の有機的連携により設置されています。

医学部生の教育においては、4回生の臨床腫瘍学の講義を担当するとともに、5~6回生の臨床実習を受け入れ、基礎教育とその普及に努めています。大学院の取り組みとしては、文部科学省がんプロフェッショナル養成プラン「次代を担うがん研究者、医療人養成プラン」において各職種のがん専門職コースを設けています。特に、京都大学独自の大学院コースとして「がん腫瘍学コース」を設け、新規医療のシーズとなるがん基礎研究を推進しています。研修医・修練医については、大学病院の特徴を最大限に生かし、ベッドサイドからベンチまで幅広く、臨床腫瘍学に関連するアカデミックな研修を提供しています。日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医を目指す医師に対する研修・指導を、当院内外の医師を問わず行っています。また、がんチーム医療の実践教育のため、毎年20以上の外部施設から医師、薬剤師、看護師をチームとして受け入れ、チーム医療に関する研修を行っています。

がん医療開発部

がん医療開発部では、研究者主導臨床試験の質の向上と臨床試験を実施する医師の事務的負担を軽減することを目的として、2012年7月より専任の臨床試験専門職のスタッフが支援しています。具体的には、がんの診療に携わる複数の診療科において、「がん臨床試験基盤 整備事業」(厚生労働省)に採択されているグループ(JCOG、JPLSG、WJOG、JCRSU、 JALSG)で実施される多施設共同臨床試験における各種手続き(倫理委員会申請支援、研究者変更手続き、監査対応など)を支援し、適切に臨床試験が実施できるようにしています。また、当院のバイオバンクの支援も行っています。患者さんなどから提供される生体試料(切除された組織の一部、血液や尿などの一部など)と臨床情報を収集・保管するシステムです。バイオバンク支援は、2013年9月にがん患者さんを対象としたキャンサーバイオバンク事業が開始された際に、説明と同意取得補助、試料採取支援、データベース管理などを実施していましたが、2017年11月からクリニカルバイオリソースセンター(CBRC)が設置され、がん以外の領域にも活動を広げたことから、CBRCと連携して研究者支援、患者支援を行っています。

緩和ケアセンター

当院は、京都府がん診療連携拠点病院として質の高いがん医療を提供するとともに、緩和ケアの拡充を目指しています。

緩和ケアセンターでは、当院での緩和ケアを提供するだけでなく、地域での緩和ケアチーム・緩和ケア外来・緩和ケア病棟等を有機的に連携することも目標としています。

  1. 患者さんの身体的苦痛や心理社会的苦痛などのスクリーニング  
  2. 専門相談支援
  3. 地域連携支援
  4. 教育・研修
  5. 診療情報の集約・分析 などの活動を行い、緩和ケアの拡充を図っていきます。

がんゲノム医療部

がんゲノム医療を効率的かつ効果的に実施するためには、がんゲノムに関する専門的な知識に加え、保険診療で実施するための様々な対応が求められます。そのため、当院では、がんゲノム医療部が中心となり、がん関連診療科および部門と連携して、最適ながんゲノム医療を提供できる体制を構築しています。また、がんゲノム医療を受ける患者さん側にも、十分な理解をしていただく必要があります。そのため、がんゲノム医療部では、「がんゲノム医療特別外来」を設置し、がんゲノム医療を受ける前にがん専門看護師やがんゲノム医療コーディネータ、担当医から患者さんおよびご家族に丁寧かつ十分な説明を行い理解をしていただいた上で、がんゲノム医療を実践しています。がんゲノム医療を受けた後も、関係するスタッフがサポートをしており、安心してがんゲノム医療を受けられる体制が構築されています。